(ライター:ののか)
いい質問とは何か?こう聞かれて一瞬でもいい質問ってなんだろう?とあなたは考えたはずだ。
実は、そう考えさせてしまうことこそが質問の力だ。要するに、質問は、相手を強制的に特定の方向で考えさせる力を持っている。
この本は、弁護士の谷原誠さんによる、法廷で活躍する超一流の究極の質問術が示してある。
質問力を身につけたい、鍛えたいと思っている人、質問に関する本のおすすめを探している人はぜひ読んでみてほしい。
この本を読むことで、以下のような疑問が明らかになっていく。
・いい質問ってなに?
・質問ってなぜ大事なの?
・人を動かす質問の仕方は?
この記事では、本の内容を章ごとにまとめながら、紹介をしていく。
第1章:知りたい情報を楽々獲得する6つのテクニック
質問には大きく、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの2つの方法がある。これは以下のように使い分けることができる。
オープンクエスチョン | クローズドクエスチョン |
自由に考えて自由に答えて情報を得たい場合 | 端的に答えが欲しい場合 |
「この本はどうですか?」 | 「この本は好き?それとも嫌い?」 |
では、質問をするとき、相手が自分の欲しい情報を端的に答えてくれるにはどうしたら良いのか?このときに重宝するのが『5W1H』だ。
これは
- 「What (何を)」
- 「Who (誰)」
- 「When (いつ)」
- 「Where (どこ)」
- 「Why (なぜ)」
- 「How (どのように)」
から構成される。これを欲しい情報に対して意識的に使うことによって、網羅された情報が手に入る。
第2章:聞くだけで人に好かれる良い質問
私たちが良き質問者になるには相手に好意を持ってもらう必要がある。
相手に好意を持たれれば、相手は喜んで情報を提供してくれるだろう。
そのための単純で最強の方法がある。
それは、「好意の変法性」を使うことである。
例えば、ペットを想像してみて欲しい。
見返りなく家に帰ると尻尾を振り駆け寄ってくれる。撫でて餌を与えると大喜びしてくれる。
当然、私たちもそのペットのことを大好きになる。
これは、相手から好意を持たれると、こちらも好意を持ってしまうという法則である。
したがって、まずは相手に好意を持つ、その上で質問をすればその質問に答えてくれる可能性もまた高まるということである。
それでは質問で好意を持ってもらうためにはどのような質問が良いのか。
・相手にとって自信のある話題であること
・楽しいこと、嬉しいことが想起される質問であること
この2点を意識して質問してみると、相手は良い気分で、あなたに対して良い印象をもって質問に答えてくれるだろう。
第3章:その気にさせる「いい質問」
人がその気になり、動くときはどんなときだろうか。私たちが動くのは次の二つの場合であると言える。
①自尊心を満足させるために動く
お金が得られる、快適な生活を得られる、名誉を得られる、など。
②自尊心が傷つくのを回避するために動く
危険を避ける、人からの評価が下がるのを避ける、自己評価が下がるのを避ける、など。
従って、人を動かしたい時は、相手の自尊心を満足させるか、自尊心が傷つくのを避けたくなるような質問をするのです。
例えば、テレビの購入を検討しているお客に対し、「大画面のテレビをお子さんに見せて、大喜びされたくありませんか?」
(①自尊心を満足させる質問)、「もう多くの方が大画面のテレビをお持ちです。お友達が家に来た時、小さいテレビではちょっと恥ずかしくありませんか?」
(②自尊心が傷つくのを回避したくなる質問)といった具合だ。
第4章:人を育てる「いい質問」
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、誉めてやらねば人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
これは、部下から絶大な信頼を得ていた大日本帝国海軍の連合艦隊司令長官だった山本五十六の言葉だ。
ここまでする必要があるのか?と正直思うが、要するに人を変えようとするならば、まずは自分の関わり方から変えなければならないということだ。
そして、いい質問を使って部下を成長させる。具体的にはポジティブ・クエスチョンを使うことを本書ではおすすめしている。
全ての質問を相手がポジティブな方向で思考するように誘導する方法である。具体的には、
「どうしたらできるようになる?」
「できるようになるために何か手伝えることはある?」
「できるとしたら誰と組んだらうまく行く?」
全ての質問に「できる」という言葉が入っているのがわかる。
このように質問をされると、相手は「できる」に思考が動き出し、ポジティブ思考になるのだ。
質問には相手の思考を強制する力がある。肯定的な質問をすれば相手も肯定的に考え始める。
人を育てたいのであれば、相手が自分で問題を解決し、前に進むための思考のきっかけを作る必要がある。
そのためにポジティブ・クエスチョンを使ってみてはどうだろうか。
第5章:議論を制する「いい質問」
議論は相手と自分の価値観のぶつかり合いだと言える。
弁護士が得意とする論法に「そもそも流議論術」がある。これは次の型から成り立つ。
STEP1 そもそも…
STEP2 ところで…
STEP3 だとするならば…
例を挙げる。
STEP1 そもそも… この会社は、人間をみんな平等に扱いますか?
→もちろんです
STEP2 ところで… 女性も男性も同じ人間ですよね
→はい
STEP3 だとするならば… 同じ人間である男性も女性も、同じくお茶出しをさせるべきではないでしょうか。
→確かに、その通りです
このように、そもそも…の部分で大前提となる価値観を先に打ち出し、ところで…により、判断基準を打ち出し、だとするならば…で当てはめを行う、という手法だ。
個人の価値観ではなく、大前提の人間は皆平等であるべきだという価値観を最初に置くことで、相手が反論しにくくなる。
第6章:自分を変える「いい質問」
最後に、自分へ質問をすることで自分を動かしていく。今すぐ自分を変えるための質問ワークが乗っている。心を静めてトライしてみてほしい。
自分を変える10個の質問
- 一年前に戻れるとしたら、まず何をしますか?
- 会社(家族)があなたに求めている役割はどんなことでしょうか?
- あなたがその役割を果たすために、今すぐ始められることはなんですか?
- あなたを元気にしてくれる言葉はなんですか?
- あなたのマイナスの口癖はなんですか?
- 自分の周囲で変えたいことはなんですか?
- あなたが「やればできるけど、やらないだけ」と思っていることはなんですか?
- あなたが妻(夫)や恋人に怒りを感じるのはどんな時ですか?
- あなたが目標を達成するために何かを犠牲にしなければならないとしたら、なんでしょうか。
- 本書のどの部分を、どの場面で、どのように活用するつもりですか?
考えただろうか?本書には各質問に解説がついている。気になる方はチェックしてみて欲しい。
そして、これからの人生を、いい質問で人をいい方向へと動かしていって欲しい。
(ライター:ののか)