PR

【口内細菌バリア】口内細菌でマスクする【万病の元?】

今回は口内細菌のはたらきについてお話したいと思います。

参考にしている論文等は記事の末尾にまとめてあります。

口内細菌とは

まず口内細菌という言葉に耳覚えがない人もいるかと思いますので、そこからご説明しますね。

口内細菌とは、読んで字のごとく「口の中に住んでいる細菌」のことで、虫歯や歯周病の原因になる「虫歯菌」「歯周病菌」と呼ばれているものもここに含まれます。

実は口内細菌の悪さはそれだけにとどまらず、食べ物を誤って肺に飲み込んで(落として)しまいそこから菌が繁殖して肺炎を起こす誤嚥性肺炎、あるいは血液を通って心臓の内側を覆っている組織に感染して引き起こす心内膜炎の原因になります。

免疫力が下がってくると、空気中の風邪のウイルスや肺炎菌などに感染しやすくなる日和見感染がおこりますが、この日和見感染による感染リスクは当然口内細菌にもあります。

日ごろは大人しくしている細菌類たちが、疲労やストレス、加齢による免疫力低下を期に暴れだし病気となるのです。

我々が日々気にしている「口臭」も口内細菌や腸内の細菌の仕業と言われています。

口内には知られているだけでも750種類以上いるといわれ、現在研究が進んでいます。

口内細菌は殺菌すべき?

ここまで口内細菌の悪さについてご紹介してきました。

では、やはり口内細菌のような「万病のもと」はすべて排除(殺菌)してしまったほうがよいのではないか?

そにように思うかもしれませんが、実は事はそう単純ではありません。

京都大学の研究をご紹介しましょう。

被験者387人を①水でうがい ②イソジン液でうがい ③うがいしない の3つのグループに分け、風邪の引きやすさを比較しました。

するとなんと、一番風邪をひきにくかったのは①水でうがいをしたグループで、②と③のグループは同程度の結果になったのです。

イソジンと言えば、カバさんが出てきてうがい薬でガラガラ~ってCMやっていたやつですが、まさかの水よりも効果がないというのです。

もちろんイソジン自体には殺菌効果があるので、口内細菌は間違いなく減らせています。

ではなぜ風邪にかかりやすくなってしまったのか?

それは口内細菌のバランスにあります。

口内細菌のバランスを崩すと免疫力が下がる

口内細菌にはいくつか種類がいます。

  • いつも口の中にいるとくに邪魔でない常在菌
  • 日和見感染を起こすリスクのある菌
  • 虫歯菌や歯周病菌といった悪さをする菌

こうした細菌類たちが日ごろバランスを取りながら生息しています。

悪さをする細菌類がいる一方で、人間は細菌類に体を守ってもらっているという側面もあります。

実は免疫力や体の作用を向上する細菌類たちもいて、それを人間は「飼っている」のです。

共生していると言い換えてもいいかもしれません。

口や鼻は体内につながる一番最初の機関です。

そこから悪さをする細菌やウイルスがむやみやたらに入ってこないよう、味方の細菌類たちの力を使って検問を張り防御しているわけですね。その働きはまさにマスクと言えますよね。

しかし、イソジンをはじめとした口内殺菌を目的とする薬液は、これらを一網打尽にするはたらきがあります。

口内細菌を一掃することで、悪い菌がいなくなって万歳!かもしれませんが、体を守ってくれていたマスクもなくなりますから、外から入ってくる細菌・ウイルスたちが万々歳!です。

そして一掃されたあとの焼け野原にはすぐさま新たに細菌類が繁殖していくわけですが、それで元通りになる保証などなく、繁殖力の強い細菌類だけが発生する可能性も高いのです。

近年こうした体内の細菌類のバランスと健康の関係が注目されており、急ピッチで研究が進んでいます。

細菌の集合のことを細菌叢(さいきんそう)と呼び、一般には細菌フローラと言われています。

細菌有名なのは「腸内フローラ」ですね。腸内細菌叢のバランスも大いに健康に関わっているのです。

悪さをする細菌類には退場願いたいですが、フローラのバランスを崩さないことを前提にしないと、手痛いしっぺがえしをくってしまうわけですね。

口内細菌・腸内細菌の働きを活性化する乳酸菌

口内や腸内にいる細菌類たちは、時には侵入者として、時には我々の体を守る砦にもなっています。

これらのうちプラスの働きをする細菌類たちに我々ができる手助けはないか?

それは、乳酸菌を摂取することです。

え?乳酸菌がプラスの働きをしていてそれを摂取するってこと?

ん~~ちょっと、惜しいです。

乳酸菌自体にもプラスの働きがあるのですが、実は乳酸菌は体の中にすでにいる味方の細菌の働きを促進してくれる働きがあることがわかっています。

テレビCMで、R-1ヨーグルトや明治の乳酸菌がインフルエンザに効く等紹介されていますよね。

どうも、乳酸菌は体内の免疫にかかわる細菌類たちの手助けをしているようなんです。

しかも乳酸菌の素晴らしいところは、「死んでなお働く!」という点です。

よく「乳酸菌を生きたまま腸に届ける」というキーワードを耳にしませんか?

食べ物は腸にたどり着くまでに胃液や膵液すいえき膵臓すいぞうから分泌される消化液)に消化されていきます。

強い分解力と酸性(膵液はアルカリ性)を持つ消化液で、ほぼすべての乳酸菌は死滅してしまいます。生きたまま腸にたどり着くためには、乳酸菌をコーティングして消化液に耐えられるようにするわけですね。

しかし実は、死んでしまった乳酸菌も役に立っていて、腸の中で他の細菌類の餌となって免疫力を向上する細菌類を増やす効果があることが知られています。

こうして「生きて届いてもよし・死んで届いてもよし」の乳酸菌は、腸内細菌叢を活性化するものとして近年大変注目され商品化なども進んできました。

しかし腸内細菌同士の関係や相互作用、はたらきのメカニズムについてはほとんど謎で、今後の研究が待たれるのが現状なのです。

乳酸菌バリアをしっかり張って元気に生活しよう

これまでお話したように、乳酸菌には間接的に免疫力を向上する働きがあることがわかりました。

これを一般に広める際に「乳酸菌バリア」と呼んでいます。

ヨーグルトやタブレットなどによって乳酸菌を摂取することで免疫力を向上し、体にバリアを張った状態にしようということですね。

2020年3月現在パンデミックを引き起こしている新型コロナウイルス性肺炎についても、この乳酸菌バリアを張って清潔にすることが一番の防衛手段になるとされています。

今後ますます猛威を振るうであろう新型肺炎にもそうですが、それ以外の様々な病気予防にもはたらく「乳酸菌バリア」を導入しない手はありませんね。

ぜひお近くのスーパーのヨーグルトエリアを回って、自分に合う乳酸菌ヨーグルトを見つけてみてくださいね。

乳酸菌バリアを張って健康生活をしましょう!

引用

この記事を書くにあたって参考にした論文は以下です。

  • Satomura K., et al.: Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial. Am J Prev Med. 2005 29:302-7.
  • 口腔感染症を理解するために  日本大学歯学部細菌学講座
  • 看護婦のための口腔ケア講座 医学の友社
スポンサーリンク
  • この記事を書いた人

でく

元高校教師でブロガー。得意ジャンルは教育・家電・ガジェット・健康美容。便利グッズや電子機器を収集してレビューするのが趣味のオタク。 小学・中学・高校はゲーム三昧。東北大卒。大学院修了後は公立高校教諭。買ったものを人に紹介する趣味が高じてブログを立ち上げる。デグー・リチャードソンジリス・スナネズミを飼育するげっ歯類好き。

-健康・美容