教育・学習

【note連載】生物と生物でないもの-世界一面白い生物学

みなさんこんにちは、でくのぼうです!

今回は私がnoteで作成している「世界一面白い生物学」シリーズの記事を転載してきました!

高校で生物教師をしていた経験を生かして、高校生物をベースに生物学の面白さを愛情たっぷりに書き上げています

現役の高校生はもちろん、大人の学び直しにも最適ですので、ぜひお楽しみください

生物ってなんだろう?

さっそくですが質問です!

皆さんは、「生物」と「生物でないもの」の違いって何だと思いますか?

具体例で考えてみましょう

①ペッパーくん  ソフトバンクショップの前にいるアレです

②ドラえもん

③コロナウイルス

④大腸菌

⑤ナメコ

⑥人間

これのうち、生物であるものをすべてあげなさい、と言われたらサクっとできますか?

なんとなーくわかる人も多いんじゃないないですかね。

じゃあ、こういう問いはどうでしょう?

【生物として選んだモノについて、生物であると考えた根拠はなんですか?】

生物学は科学です。つまり、なんとなーくではダメです!

きちんと、筋の通った理由がないといけないんです。

理由、考え付きました?

では、皆さんのが考えたであろう答えを私が予想します。

①自分の力で動けるもの

②心臓をもつモノ

③心(意思)があるもの

④外から栄養をとるもの

こんな風に考えた人が多いんじゃないでしょうか?

実は、生物であることの答えとしては、このいずれも不正解です!残念!

そしてもう一つ間違いがあります。それはこの問自体です。

これは生物か生物でないか、という問い自体が実は間違っていたんです。

めんどくさいだまし方をしてごめんなさい笑

実は、生物か生物でないかという区別に万人が納得するコレ!というものがあるわけではないんです。

だから頭を巡らせて生物かなー生物じゃないかなーなんて考える事自体が、ほぼ無駄です。

じゃあ、生物か生物でないかを区別することは無駄か?

いえいえそんなことはありません!

やっぱり地球上に住む我々にとって生物とは何か、と考えることはとても大切です。

つまり生物か生物でないかを区別することに大した意味はないけれど、生物とは何かということを考えることは大切だということです。

そして生物とは何かという問いに私なり答えるとするならばこうです。

「地球上に住む。ある1つの生命から進化してきた全て」

です。

生物かどうかの基準って?

ある日地球上に、たった1つの生命が誕生して、すべての生物の歴史はそこからはじまったとされています。

そしてその生命が進化という尊い活動を繰り返すことで、姿形、性質、能力、大きさ、様々に多様化した「同族」が世界中に広がっていくことになりました。

そしてそれは今、私たち人間やイヌ、ネコ、サクラ、バラ、ウメ、アジ、サンマ、マグロ、アメーバ、ゾウリムシ、ミドリムシ、乳酸菌、大腸菌などというように、実に様々な形で地球上に存在します。

そう、つまり、地球上に住むこうしたものはすべて生物です。

それ以上でもそれ以下でもありません。

でも、科学者はもちろん一般社会でも「生物とはなにか」に一定の答えがないと生物について考える事ができませんので、便宜上「これが生物だよ」というお約束ごとを作ることになりました。

つまりこの条件を満たすものが生物だよ、ということです。

それは何かというと、

「すべての生物に共通する性質をもつもの」

です。

一見して、おかしいってわかるでしょ?

生物の定義に、生物自体が入ってしまう入れ子状態。

だからこの条件を満たすものが生物、この条件を満たさないものが生物という風に区切ること自体が、大して意味のない行為だってわかってもらえます?

でも、便宜上、だからこれでいいんです。これでたいていのことが説明がついてしまうのだから構わないのです。

これまで世界中の人が身近に見てきた生物たち、研究者たちが努力して発見してきた新しい生物たち、そんな生物たちを1種たりとも取りこぼすことなく、すべての生物に「共通すること」が見つかれば、それすなわち生物である条件だということです。

すべての生物に共通すること

そもそもなんで、すべての生物に共通することなんていうのがあるのでしょうか?

これは進化の原理にたって考えればごく自然なことです。

生物を分類するということは中学校でも行うことです。

例えば私たち人間やイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、ネズミ、イルカやクジラなどをひっくるめて「哺乳類」なんていいます。

これはこれらの生物たちに「共通すること」があるからなんですね。

そして、共通することがあるということは、かつてその「共通すること」をもった1種類の生物がいて、その生物が長い年月をかけて進化をして、姿形を変えていった結果今の哺乳類になったと考えることができます。

つまりこうです!

【すべての哺乳類の祖先だった1種の生物が持っていた特徴を、すべての哺乳類が共有している】

こんな感じで同じ特徴をもつ生物たちをグループでくくっていくと、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、などというグループができます。

これらもそれぞれ、たった1つのご先祖様から進化した、と考えられています。

よく魚類は両生類に、両生類は爬虫類に進化したなんていいますが、これはかつての魚類の中のたった1種が今の両生類のご先祖様で、かつての両生類の中のたった1種が今の爬虫類のご先祖様、ということを意味しています。

グループ分けしたもの同士も、似ている特徴があればくっつけることができます。

例えば哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類のこれら5グループを足したものは何というでしょう?

そう皆さんお分かりですね?「脊椎動物」です。

背骨が1本通っているという特徴を共有しているんですね。

こういった具合に、どんどんグループを分けをしてさらにまとめていって、という風にしていくと、最後は1つの生物にいきつくわけです。

それが世界で最初の生き物で「始原生物」なんて言われています。

そしてこの「始原生物」が持っていた特徴こそが、のちの全ての生物に受け継がれて共有している特徴だってこと!

さあ、お待たせしました!

ではその「始原生物」がもっていた特徴とは何なのか?

つまりすべての生物に共通する特徴とは何なのか?

その答えとは、こうです!

①すべての生物のからだは細胞でできている

②すべての生物は、エネルギー物質としてATPを用いる

③すべての生物は、遺伝情報の担い手としてDNAを用いる

この3つの特徴をもつものこそが生物で、そうでないものは生物でないということです。

細胞はわかるけど、ATPって何? DNAもなんか聞いたことがあるけど…。

という人のためにざっくり説明すると、細胞っていうのは生物のもっとも基本的な構成単位(つまりこれが集まってできているということ)で、クジラのような大きな生き物も、大腸菌のような小さな生き物も、この細胞が集まってできているということです。

大きな細胞はたくさんの細胞がくっついている「多細胞生物」といわれていて、大腸菌などのように細胞1個で生きている生物を「単細胞生物」といいます。

細胞の中で起こっている現象こそ、生きるための生命活動そのもので、それはすべての生物に共通しているということなんですよ。

で、ATPっていうのはその細胞の中で使われている物質で、生命活動をするのに必要なエネルギーの担い手です。

ぜんまいを動かすにはバネの運動エネルギーが必要だし、機械を動かすには電気エネルギーが必要。

それと同じように活動するには必ずエネルギーが必要になります。

そしてその生物が活動するためのエネルギーをやりとりするのが、ATPっていう物質です。すべての生物はこのATPという物質の中のエネルギーを、自分の体の中で生命活動のためのエネルギーに変換していきているんですね。

DNAは聞きなじみのある人も多いかもしれないけれど、遺伝情報を記録している物質です。

生物がどんな形になって、どんな大きさで、どんな生き方をするのかを決めているのが遺伝情報です。

つまり私たち人間の子供は人間。カエルの子供はカエル(おたまじゃくしですけどってツッコミはいらんです)。人間からカエルは生まれてこないんです。

こんな当たり前のことを決めているのが遺伝情報というものなんですね。

そしてそれは物質として何かに記録されていないと受け継ぐことはできません。物質に記録されていれば、それを子供に渡してあげるだけで「人間とはなんぞや」という情報を渡したことになるんです。簡単ですよね。

この遺伝情報を記録しておくための物質こそがDNAで、親から子へ受け継がれる「君はこういう生物だよ」という情報のおおもとなんですね。

細胞、ATP、DNAについてはこれからのnoteでそれぞれ細かく触れていくつもりですよ。

生物と生物でないものを分ける

ということですべての生物に共通する性質がわかりました。

そして共通する性質がわかったということは、

「すべての生物に共通する性質をもつもの」である生物もわかったということです

それでは最初の問に出した①~⑥をもう一回見てみましょう。

①ペッパーくん  

②ドラえもん

③コロナウイルス

④大腸菌

⑤ナメコ

⑥人間

どうでしょう? 今度は根拠をもって判断できますか?

①と②は一見して生物でないとわかりますよね? 細胞でできてないですし、電気で動いてるからATPを使っていません。そして子供を残すためのDNAももってないですから。

一方で④⑤⑥の3つは生物ですよ。

じゃあ③はどうでしょう?

今年さんざん苦しめられてきたコロナウイルスですが、これは生物に共通する特徴3つを持っているのだろうか?

まず細胞。ウイルスは細胞をもっていません。

細胞の代わりになる殻や膜のようなもので自分の中の遺伝情報を守っています。

ATPはどうでしょう? ウイルスはATPをもちません。もたないどころかATPを使うシステムそのものがありません。なのでATPを使うことができません。

この時点でもう「生物でない」と断定したいところですが、ちょっとまって!

細胞のところで少し触れましたが、実はウイルス(の一部)は遺伝情報をDNAに記録しているんです。

えーー、なんでDNAだけーーーー

と思うかもしれませんが、実はウイルスは生物の進化の系譜からはみ出した存在で、すべての生物に共通する特徴の一部だけを持っているんです。

だから生物ではないんだけれど、生物の一部の特徴を持っている。

というイマイチはっきりしない存在なんです。

だからよく生物と非生物の中間なんていう言い方をします。

こんな具合で、一生懸命生物に共通する性質を探して、それを使って生物の基準を定めたのに、なーんかあやふやな奴が出てきてうやむやになっちゃいましたよね。

だから最初に言った通り、生物と生物でないものを分ける基準に大した意味はないんです。

実はすべての生物に共通することは、他にもいろいろあるんですよ。

例えば研究者によっては「エネルギー代謝を行う」とか「自己と非自己を認識する能力がある」とか「自分と外界をしきる膜がある」とか色々なことを言っています。

しかもこれを都合よく選び取れば、「ウイルスは生物だ!」なんていうこともできちゃうわけです。

基準も色々だし人によって解釈が変わるしで…生物の基準に大した意味がないってことがお分かりいただけましたか?

ひとまず生物の基準を細胞・ATP・DNAとする

とはいえ、生物学で扱う対象を明確にするためにも、生物の基準をひとまず決めておくことは重要ですから、高校生物の世界では、細胞・ATP・DNAの3つの特徴をもつものが生物だよってことにしておきます。

真に大切なのは、

この3つの特徴を有するもの→生物

という考え方ではなくて

すべての生物は1つの生物から進化した→すべての生物に共通することがる→それは細胞・ATP・DNA

という考え方です。

なんで細胞・ATP・DNAが出てきたのかということを理解することの方が、はるかに生物学にとって重要です。

生物の基準が大切なのではなくて、生物とは何なのか考える事は大切というのはそういう意味です。

生物の基準を覚えることはただの暗記です。

しかし「生物とは何か」と問いを立てて、観察した事実から論理的に考えていった結果得られた基準というのは、科学の産物です。

生物学はこうした先人たちの論理的な研究の元に成り立っているものです。

ぜひ暗記科目にするのではなく、なんでだろう?と問いを立てて、そこに論理的に考えるプロセスを楽しんでもらいたいなーっと思ってます!

これからもこんな感じでいろいろ書いていくので、よろしくお願いします!

楽しかったら「スキ」よろしくおねがいしまーす!

またのお越しお待ちしてます!

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  • この記事を書いた人

木偶の坊

学校の先生のお仕事をしながらライターやデザイナーもやる30歳。得意ジャンルは教育・家電・ガジェット・健康美容。便利グッズや電子機器を収集してレビューするのが趣味のオタク。 小学・中学・高校はゲーム三昧。頑張って東北大へ進学。大学院修了後は公立高校教諭。買ったものを人に紹介する趣味が高じてブログを立ち上げる。今は副業可能な学校の先生へ転職。デグー・リチャードソンジリス・スナネズミを飼育するげっ歯類好き。

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