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高校生を塾に行かせるべきかどうか、高校教師の目線で語ってみる

今日は高校生の塾通いについて考えてみます。

 

私のプロフィールは以下です。どうぞご覧置きください。

「でく」ってこんな人

東北大学・東北大学大学院卒業。在学中に塾講師・家庭教師として5年勤務。大学院修了後は公立進学高校勤務。専門は理科、生物学。官民様々な進学指導全般を経験。

 

高校で指導をしていると、生徒や保護者の方から「塾に通うべきでしょうか?」と質問されることが、まぁけっこうあります。

 

それに対する答えとしては、「使い方次第ではあるけれど高校だけでも十分」というのが私の答えです。

私は地方の田舎の中堅進学校の出身ですが、学校の授業のレベルだけでは進路実現には不足だと考えていたので、先生がたに個別指導をお願いしていました。先生方は快く引き受けてくれて、問題集をオススメしてくれたり添削指導をしてくれました。その甲斐あって旧帝大に合格しました。いまは高校の教師としてそのときの恩を返すつもりで、上位者にも下位者にも手厚い指導を心がけています。

 

しかしそういう指導体制が整っている学校ばかりでもないので、ここでは学校での個別指導については除外して、塾に通うべきかどうかにスポットをあてて「どんな人・どんなシチュエーションの人が塾に通うべきで、逆にどんなタイプの人は通うべきではないか」についてお話していきます。

また、塾と一概にいっても「個人指導塾」「集団指導塾」「サテライト指導(映像授業)」など色々形式があります。それらについてもケース別にオススメを解説していこうと思います。

 

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あなたはなんのために塾に通うのか?

まず大前提ですが、先程申し上げた通り、「多くの人にとって塾通いは不要である」というのが私の基本スタンスです。

不要というと塾関係の人に怒られてしまうかも知れませんが、率直に「費用対効果がうすい」と思っています。

 

進学校でそこそこ長く指導してきた経験からして、塾に通ったことで「成長したなぁ」と感じた生徒はおおまか以下の2パターンです。

塾にかよって伸びた生徒

  1. 学校の授業についていけない生徒
  2. 学校の授業のレベルに満足していない生徒

この2パターンをみて「そりゃそうだろうよ」って思う方も結構多いと思いますが、塾通いをしている生徒でこの1,2に該当していない高校生って、けっこう多いんですよ。別に学校の授業にもそれなりについていけているし、自分の進路目標と授業のレベルが乖離していない。それでも塾にかよっているという生徒は結構います。

 

私はこのタイプの塾通いには懐疑的です。本当に効果あるのかな?って思っています。「養分」になっているとすら思ってますね。

 

いまいちど塾に通う意義を考えてみます。

学校は基本的には行かなければならないものです。欠席したら相応のデメリットがありますし、欠席がかさめば進級や卒業にも響いてきます。成績が悪いことももちろん進級・卒業に絡んできます。つまり、基本的に「欠席することのデメリットが大きい」のです。

 

一方で塾はどうでしょうか。欠席したところで塾側は困るわけではありません。(指導についてきてもらえないという意味では困るかも知れませんが)究極的には塾の月謝を払ってさえくれればOKなわけです。つまり「通うことのメリットが大きい」のであって、「欠席することのデメリットは小さい」です。

 

そこで塾に通う意義を考えます。

学校の授業についていけない人は、「ついていけるようになるため」

学校の授業のレベルに満足いかない人は、「より高いレベルの学習をするため」

それぞれ合理的な通塾の目的があります。

 

では、学校の授業についていけている人が、塾に通うメリットは何でしょうか?

日々の学習の復習でしょうか?

学習時間の確保でしょうか?

 

それって、一人でできませんか? むしろ一人でできないならば、一人でできるようにならなければいけないことですよね。受験のことを考えれば、「自学できる」ことこそ重要で、そこを誰かに依存しないとできないというのはダメです。私も「教師からの自立」を目標に授業を展開をしています。学校にせよ塾にせよ、教師に依存しているのはいいことではありません。学校の授業に問題なくついていけていて塾に通う目的が「自学ができるようになるため」であればまだしも、そこを目的にしている人は、ごく少数に思えます。

 

私が塾で働いているときや家庭教師として働いているときにも、通塾の目的がない人というのが一定数いました。そしてそうした人たちの学力は、残念ながら伸びませんでした。

 

「目的意識なき通塾に成果なし」

 

これはかなりの確度で言えることだと思います。高校受験のときにお世話になった学習塾にそのまま惰性で通っているという人は、いまいちど通塾の意義について考えてみてほしいと思います。

 

「学校をつかうか」「塾をつかうか」

高校教師の中には、「学校でしっかり授業しているのにも関わらず、塾なんかに通うのはナンセンスだ」と思っている高飛車な人がいます。

 

気持ちはわからないでもないんですが、これは少し的を射ていないと思っています。

 

学校も塾も、基本的には授業をするところです。

(武田塾みたいに自学メインのところもありますが)

 

学校の授業には学校の授業のレベルがあり、塾には塾の授業のレベルがあります。

これはどちらが高い・低いではなくて、どこに焦点を合わせているかの違いです。

 

一般に進学系の高校は一学年あたりの生徒数が多い傾向にあります。少なくとも200人、多いと300人を超えます。

 

その大人数を相手に、「全員がわかる、かつ全員の進路にマッチした授業」をするのは至難の業です。かなりの確率でいわゆる「落ちこぼれ」や「吹きこぼれ」を生むことになります。しっかりとした(っていうと含みがありますが)高校教師であれば、狙った層の学力はしっかりと伸ばす授業をすることができます。しかしそれでも、上位層と下位層の一部には、ミスマッチな授業になることもあります。

 

一方で塾はどうでしょうか? 塾ではクラス別に授業が開催される事が多く、集団ならば20人〜40人、個人なら1,2人とかなり焦点を絞った授業をすることができます。理解度を確認しながら丁寧に授業をすることができます。これは塾の授業の強みです。

 

学校や塾における授業のわかりやすさというのは、授業を受ける者の学力が、授業の焦点となっている層とマッチしているかによるところが大きいです。「高校教師が有能か無能か」「塾の講師が有能か無能か」というのは二の次です。教え方が多少下手でもレベルの焦点があっていればわかりますし、教え方がうまい先生でも焦点がずれていれば授業はわからなくなります。

 

そういう意味で、学校の授業のレベル的な焦点があっていれば学校を利用すればいいし、合っていないと思うならば塾を利用すればいいのです。

 

私は高校教師の身ではありますが、「学校は利用するもの」と考えています。同じ意味で「塾は利用するもの」と考えます。どちらも教育サービスを提供する機関なので優劣はありません。展開される授業の焦点が、自分に合っているか合っていないか、という点で考えればシンプルでいいのです。

 

学校の授業の焦点が自分にあっているならば、学校をベースにがんばればいい

ここまでの話を少しまとめてみます。

  • 学校は行かないことがデメリット・塾は行くことがメリット
  • 学校の授業の焦点に合わない人が一定数いる(焦点層より上位・下位)
  • 焦点に合わない授業は「わからない」

これらを踏まえると、「学校は通わなければならない」という前提のもと、学校の授業の焦点が自分に合っているのであれば学校の授業だけで十分だということになります。よく、「高校教師は進学指導はできない」という人がいますが、とんでもない誤解です。

 

進学高校に集まっている教員は、地方国公立大学・旧帝大・上位私立大の出身も多く、決して塾講師に劣っているものではありません。もちろん、長年進学指導を担ってきた歴戦の塾講師にはかなわない場合もありますが、若手の塾講師やバイトの講師などと比べるべくもありません。

 

「進学指導は塾でないとできない」という固定観念を持っている人は、少し危険です。

 

私が勤めていた公立高校でも、塾に通わずに東大・早慶上智・医学部に合格していく生徒はいます。

学校の指導にはついていけない生徒で、塾の丁寧な指導によって学力を上げた例も当然ありますし、塾に通ってはいたものの学力上がらずじまいという生徒もいます。

 

結局は、塾に通っているかどうかが問題なのではなく「うまく学校を使えているか・うまく塾を使えているか」ということが重要なのです。

 

学校もしくは塾、どちらかでもうまく使えていれば学力が伸びていく可能性があります。どちらもうまく使えてない人というのは、残念ながら伸びていきません。

 

では、「使える」「使えない」のわかれ目はどこにあるのか? 考えてみましょう。

学力が低い生徒は、「個別指導」一択

ではどんなふうに塾を使えばいいのか。ここでは、「学校の授業の焦点が自分に合っていない人」を想定して話をしていきます。

 

まず、学校の授業についていけない人について。

学校の授業についていけない人に関しては、個別指導の塾や家庭教師をおすすめします。

 

「勉強が苦手なんだから塾に通いなさい」などと親に言われて、何も考えず通塾申し込みをして集団授業を受けている人がいますが、残念ながら学力が伸びることはあまりないです。

 

学校は基本的に集団指導です。先生にもよりますが、ある程度わかりやすく教えてくれるはずです。学校で一日6時間以上集団授業を受けていて「わかるようにならない人」が、放課後に集団授業を受けてわかるでしょうか? いくら塾のほうがクラス分けされているとはいえ、授業のレベルを下げるにも限度があります。学校の基礎内容がわからない人がわかるようにするためのレベルの授業がきちんと開講されていればいいですが、そうでないなら集団授業を受ける意義はありません。

 

学校の授業についていけない人に必要なのは、「何がわからないのか?」「どこでつまずいているのか?」「どうやればできるようになるのか?」をしっかり相談しながら進められる「能動的な学習環境」です。それは集団指導ではなく個別指導でしか得られません。

 

学校の集団授業で「よくわからない」

塾の集団授業でも「よくわからない」

これは完全に、「学校も塾もうまく使えていない」典型です。

 

ときどき「学校の授業ではわからないけれど、塾の集団授業ならわかる」という生徒がいますが、そういう生徒の小テストや章末テスト、定期考査、模試、どれをとってもボロボロな場合が多いです。

 

塾講師は教えるプロですから「わかるように説明すること」がですます。でもそれは「できるようになる」ということの入り口に過ぎず、「話をきいてわかる」から「できるようになる」ためのトレーニングを積まなければ本当の意味で習得できるようにはなりません。それについてはここで深堀りはしません。

 

その点において一番最悪のパターンは、学校の授業についていけないのにサテライト(映像授業)を受けているパターンです。これは伸びません。少なくとも私は伸びた人をみたことありません。

 

林修先生などをはじめとした一流の予備校講師の授業を受けられるのが魅力のサテライト授業ですが、これは完全に「受け身」の学習です。学校で集団授業を受けていてついていけない人にとって必要なのは「能動的な学習環境」です。一流講師の説明は非常にわかりやすいです。わかりやすいがゆえに「できた気になる」ことも多いです。「なるほどなるほど」と思っていても「実際に自力で問題を解いてみたらできません」ということが多いこと多いこと。

 

前段でも言いましたが、生徒ができないのは学校の教師や塾の講師の「教える能力」だけが問題ではないので、教え方や説明が上手い授業を受ければできるようになるわけではありません。このあたりを勘違いしている人は、いつまでたっても伸びません。

 

塾にかよっているのに成績が伸びてこない、という人は完全にそのあたりで間違っているので、通う塾を変えるか指導形態を変えましょう。

 

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学力が高い生徒は、サテライト授業や集団授業も検討アリ

一方で学校の授業では満足できない、学力が高い層の人はどうでしょうか。

そういった学力層の人にも、基本的には個別指導をオススメしたいのですが、進学系の高校の上位にいるレベルであればサテライト授業や集団授業を検討するのもアリです。

 

これは、サテライトや集団授業でも「能動的に学ぶ学習環境」に変えることができる、というのが条件です。

 

教わったことを自分ですぐ試す、問題を解いて演習をする、わからない問題について思考する、そういったことが日常的な行為として定着していれば、どんな授業を受けても学力を伸ばすことができます。だからこそ、焦点の合っていない学校の授業うけても上位層にいられるわけです。

 

学力が高い層の人は、自分に足りない能力や、進路実現に必要なレベルの演習ができるよう、塾での授業の受け方をよく相談すればいいでしょう。

 

まとめ

今回の話をまとめていきます。

Q.塾に通うべきか?

A. 学校の授業についていけない場合→個別指導の塾に通ってみる

学校の授業についていけている場合→通う必要性はなし

学校の授業に満足しない上位者の場合→進路実現に合っている塾を選んで通ってみる

 

一応これが回答になります。

あとは、学校だけで完結するというのももちろん選択肢としてはアリです。

昔と違って熱心な高校教師も増えてきましたし、進路実現のノウハウが高まってきています。ただ、転勤がある都合上、公立高校の方がやや弱いという側面はあります。転勤のない私立高校のほうが、ノウハウ蓄積の効率がいいといえます。

ただ公立高校においても、下位層や上位層の人は学校で面倒が見られないか?と言われれば全くそんな事はありません。基本的には学校側で「見捨てる」ということはありえませんので、下位者には下位者に合うように、上位者には上位者に合うように個別指導をしてくれる高校がほとんどです。

 

よく「学校では落ちこぼれだし先生にも見捨てられているから塾に通う」という人がいますが、そういう人に限って「できるようになるにはどうすればいいか」という相談を学校にしないまま、勝手にふてくされている場合がほとんどです。結局「学校は悪・塾は正義」という構図に落とし込むのが前提になっています。こういう人は、塾に通っても伸びません。

 

私自身、現役の塾講師と交流することもありますが、「学校の悪口ばかりいう生徒は塾でも伸びない」という話はよく出てきます。結局その人の性根に問題がありそうです。

 

塾に通うお金がなぁと思う人は、まず学校でどういったサポートをしてもらえるか確認しましょう。熱心な先生たちであれば、真摯に答えてくれると思います。

 

ただ、ぶっちゃけ「本人にやる気がない」状態においては、学校においても塾においても効果的な処方箋はありませんので、「学習意欲が極端に低い」場合には、塾に通う以前に別のアプローチが必要だと私は考えます。通いたくなもない塾に通うことほど、本人とっても塾にとっても迷惑な話はありません。

 

「根性がない」とか「なまけ者だ」と断じる前に、やる気が出ない原因について親子でしっかりと向き合ってほしいと思います。

 

その上で、ぜひ効果的な「学校の使い方」「塾の使い方」を検討してもらいたいと思います。

 

参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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でく

元高校教師でブロガー。得意ジャンルは教育・家電・ガジェット・健康美容。便利グッズや電子機器を収集してレビューするのが趣味のオタク。 小学・中学・高校はゲーム三昧。東北大卒。大学院修了後は公立高校教諭。買ったものを人に紹介する趣味が高じてブログを立ち上げる。デグー・リチャードソンジリス・スナネズミを飼育するげっ歯類好き。

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